深淵の覇者

6/11

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
夜遅くなり優達は帰ることになった。 帰り際にマスターが「変質者には気をつけてね」と何度も言っていた。 「ってか悪魔狩りが変質者に襲われて負けるわけないよな」 「それ言えてるわ。てか俺らを襲う奴なんているわけねえよ」 「…何か私への悪意がこもってる気がするけどあえてスルーさせてもらうわ…」 ため息混じりに美歌はそう言った。 「それにしてもマスターっていい人だね」 美歌は少し笑みを浮かべた。 「ああ。あの人はあれだそこいらの女よりも母性本能の覚醒が進んでるんだよ」 「母性本能ってあの人男なのよ?」 「いや。あの人の性別は男ではないだろ」 「………」 「………」 「………」 沈黙が続きその次に 『あはははははははははっ!』 三人が大きな声で笑だした。 「やっべ……腹痛え…」 腹を抱えた優はまだ少しばかりだが笑っている。 「よーし!じゃあカラオケでも行くか!」 「「おーー!」」 美歌と優が元気な返事をして歩き出すとーーーー 「お前が水の皇帝か?」 ゾクッ 3人の背中に寒気が走る。 ーー……体が…動かない…? 美歌は風華と凩を抜刀しようとしたが体が言うことを聞かずそのばに硬直していた。 ーー誰なの…!? 後ろの気配が一歩ずつ近づいてくる。 「もう一度聞く。お前が水の皇帝か?」 その気配は美歌の横を素通りして建物の屋上に立っている優へと質問した。 ーー優?いつの間に…… 「ああ。そうだ。お前は誰だ?」 優はすでにトライデントに手をかけている。 「ふっ。名乗るだけ無駄だ。なぜなら……お前はここで死ぬのだからな」 言い切ると同時に影の主は優へと攻撃を仕掛けた。影の主は腕に何か纏っているのが見えた。 「ふんっ!」 その拳が優をとらえたかと思われたが優は紙一重でかわし、逆にその影の主の首筋にトライデントをあてていた。 そして月の光によってその影の姿が映し出された。 そこにいたのはーーー 「お前……人間か?」 優がそうたずねたのは相手が人の形をなしていたからだ。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加