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「あれ?ここどこ?」
優が目を覚まし、最初に視界に入ったのは白い天井だった。
「やぁーっと目ぇ覚めたか」
優が寝ているベットの隣には椅子に腰掛けているスライアがいた。
「あれ?スライアさん?」
「よお。黄泉の川渡らずに済んだようだな」
「もしかして助けてくれたのってスライアさんだったの?」
「勘違いすんなよ。俺はたまたまあそこを通りすがったら悪魔が女性を襲っていたから助けただけだ。お前らはそのおまけ」
「うわっ…ヒド…」
誰にも聞こえないように言ったつもりだったがスライアにははっきりと聞こえていたらしく、優は拳骨をもらった。
「それで……あの悪魔一体何者だ?」
真面目な口調へと変化したことに気づき優も真剣な顔つきとなる。
「分かりません。けど、悪魔であることは間違えありません。それであいつは仲間を引き連れてやってくるらしいです」
「なんじゃそりゃ。戦争でも引き起こす気かよ」
戦争。
その言葉に優の背筋に寒気が走る。
「そうなったら…俺たち悪魔狩りはどうすれば」
「決まってんだろ。戦うしかねえだろ」
「そうですよね……」
ーーならこのままじゃダメだ…
ーーもっと強くならないと…
「そう焦るな」
「え?」
考えを読まれたことに驚きの表示を見せる。
「けどあんまり悠長にもしてられねえしな」
「うん…」
「ま、今は休めや。お前は怪我治すほうが先だ」
「はいはい」
スライアがいなくなってから数分後、今度は浩介と美歌が優の部屋へと訪れていた。
「優大丈夫なのか?」
「ああ。ってか、浩介こそ重傷だろ?」
「俺?俺はほら、頑丈だから」
「なんだそれ」
ハハハと二人の笑い声が病室に響いた。
「二人とも…本当にゴメン」
ずっと俯いていたままだった美歌が口を開いた。
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