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「はあはあはあはあ…」
少女は一人走っていた。
「ウォァァォ……」
後ろからはうめき声をあげながら大量の悪魔が追いかけてくる。
「くっ……多すぎる」
ーーどこかに隠れなきゃ
そう考え、少女は路地裏に入り入り組んだ道を利用して悪魔との距離を開けていく。
すると目の前に建物の裏口らしき扉が見えた。
「……あそこしかないわね」
少女は扉を開け、中に転がり込んだ。
「ハァハァハァ……」
ーー逃げ切ることができたの?
追っ手が来ないことを確認すると少女は安堵の息を漏らした。
だが…
カラン
「誰だ!」
少女は腰にぶら下げていた武器に手をかける。
「わわっ!待って下さい!俺は怪しい者じゃないですから!」
両手を上げてやってきたのは学生服を身にまとった少年だった。
「あなた誰?こんな時間に子供が一人でうろついてていいと思ってるの?」
「いや、それを言うなら君もでしょ」
「なっ!馬鹿にしないで!私はもう17よ!」
「え?奇遇だね。俺も17なんだ」
「……もういいわ」
プイと少女はそっぽをむいた。
「天馬優」
「え?」
「俺の名前だよ。天馬優っていうんだ。よろしく」
「……か」
「え?」
「西条美歌よ…」
「うん。よろしく」
「で、西条さんはここで何をしてたの?」
優の質問に美歌はため息をつきながら答える。
「悪魔に追われてたのよ」
「え!?悪魔?なんで?」
「さあ?さっき人間を襲おうとしてた悪魔倒したからそれの復讐とかじゃない?」
「倒したって……。西条さんってもしかして悪魔狩り【デーモンハンター】なの?」
恐る恐る優は聞いてみた。
「ええ、そうよ」
その言葉に優は顔を青ざめた。
「悪魔狩りなんだ。すごいな~、西条さんは。憧れるな」
ひきつった笑みを浮かべながらも褒め言葉を紡ぐ優。
ーーなんなのかしらこの子…
ーー見た感じただの生徒って感じだけど…
「それよりもあなたどっかの学校の生徒でしょ?早く帰りなさい。悪魔に食べられるわよ」
「あ、うん。分かった」
そう言って優はそそくさとどっかに行ってしまった。
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