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優が目を覚ましたのは次の日の夜だった。
「おい……おい……」
「ん~……あと五分…」
「いいから……起きろー!!」
「げふぅっ!」
寝ている優の腹に肘打ちが炸裂した。
「痛ってえな!重傷患者になにしてんだ……よ……」
肘打ちをした本人の顔を見て優は顔を青ざめた。
「よっ」
「……親父…」
足元まである長いマントを羽織った男ーー優の父は片手を挙げてニヤニヤ笑っている。
「お前負けたんだって?めずらしいな」
「うるせえよ…なあ親父…」
「あん?なんだ?」
「俺、もっと強くなりてえ」
「ふうん。それで?」
優はベットの上で正座をし、頭を下げる。
「頼む。俺に一から叩き込んでくれ」
「……いいんだな?下手すりゃ今よりひどい怪我ができるかもしれないぞ?」
「構わない」
ーーこいつ…
ーーたくましくなったな…
フッと微笑んだ後、優の父は出口へと手をかける。
「明日から特訓だ。覚悟しとけよ」
とだけ言い、部屋を出た。
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