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「んじゃ、始めるか~」
「ほいほーい」
のんびりとした二人が立っている場所は殺風景な真っ白とした空間だった。
辺りにあるのは直方体の障害物がいくつかあるだけで他には何もない。
「こんなとこで修行すんのかー?」
「あ~?あたりめ~だろ~が」
「だって火事になったらどーすんだよー?」
「安心しろ。お前の炎で焼くことのできるものなんてこの部屋にはない」
真面目な口調となったスライアの足には紅蓮の炎が纏わり付いている。
「そうかよ!」
スライアが構えるよりも早く浩介は攻撃に出ていた。
「甘い!」
二人の蹴りが交わる。
衝撃の余波で大気がビリビリと震えていた。
「なっ…!」
「ほらな」
浩介は力で押し負けてしまい壁まで吹っ飛んだ。
「くそっ…!」
軽傷だったのか浩介はすぐさま立ち上がり スライアから距離をとる。
だが、気がつくとすぐさまは後ろに立っていた。
「お前な簡単な話してやろうか?お前は力に頼りすぎてんだよ」
「だったらなんだよ」
「さっきの蹴り、力で押し負けたとか思ってるのか?」
「は?」
「ちげえよ。俺が高速でもう一撃蹴りを叩き込んでいたんだよ。それがなかったらほぼ互角だったな」
「なっ…!」
ーーもう一撃叩き込んでいたのか?
ーー全く見えなかったぞ…
「そんじゃ修行内容を教えるぞ」
足を下ろしてスライアは言った。
「俺に速さで勝て」
「……」
「……」
「……そんだけ?」
「ああ。そんだけだ。だがーー」
言い切るより速くスライアは飛び出していた。
気がつけばスライアの足は浩介の顔面で止まっていた。
「お前が速さで俺に勝てるとは思わないけど」
「なめるなよ…」
浩介は炎をいつもとは違う形状で足に纏わせた。
「この前マスターが整備した時につけてくれた新機能、ここで試してやるよ」
「ほう…」
スライアは僅に目を細める。
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