3人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「行くぜ」
炎はやがて浩介の足を包み込んだ。
浩介は体のバネを利用し、スライア目がけ飛び出した。
「……は?」
気がつけば浩介はスライアを通り越して反対の壁にめり込んでいた。
ーーなんだ今の速さは…?
ーーあいつ……
ニヤリと口元を歪めるスライアは嬉しそうな表情を浮かべる。
「やればできるじゃねえか」
崩れた壁の瓦礫の中から浩介が出て来るが所々を押さえていた。
「イテテテ……もっと力をセーブしないと…」
「ほら、もういっぺんやってみろよ」
「そのつもりだよ」
もう一度同じように炎を纏わせるが先程より少し小さい炎だった。
「これなら…」
浩介は壁に向かって飛んでみると先程より遅いがそれでも普段の数倍もの速さで移動し、壁にうまく着地できた。
「これなら行ける」
壁からスライアへと飛び出し、そこで蹴りを入れる。
再び二人の蹴りが交わった。
「どうだ?」
「いやー…本当にすげえなお前」
心底感心したような声色でスライアは言った。
「あん?どういう意味だ?」
「いやいや。だっていきなりあんなスピードで動いたのに全然余裕だなんて」
浩介はもう一度聞こうとしたがすぐに意味が分かった。
浩介の中で急激に吐き気が込み上げてくる。
「うぷっ………」
「俺が始めての時は気持ち悪くなって吐いたけどな」
「うぉぇぇぇぇ……」
浩介は意識が途絶えてしまいその場で倒れてしまった。
「……ったく。この汚物を誰が処理すると思ってんだ」
スライアの目の前には白目を向いて倒れてる浩介と飛び散っている汚物があった。
最初のコメントを投稿しよう!