修行開始~強者の炎~

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目にも留まらぬ速さでスライアは浩介に蹴りを叩き込む。 「ぐあっ……」 壁にヒビがはいるほどの威力で激突したが浩介はすぐさまその場から離れスライアとの距離を取った。 「あのよお…」 頭をぽりぽりと掻きながらスライアはため息混じりに呟く。 だが次の瞬間スライアは消えていた。 「距離なんか取って意味あんのか?」 浩介の背後へと移動していたスライア。 とっさのことに浩介は反応出来ずにいた。 「蒼火龍」 足から放たれた青い炎は龍の形をして浩介へ突進した。 「紅蓮火龍」 スライアの蒼火龍を相殺させるべく浩介は紅蓮の龍を放った。 二つの龍は互いの間近で衝突し爆風が巻き起きた。 だが青の龍は紅蓮の龍を喰らい浩介を呑み込んだ。 「そんな力を抑えてたらなんのためのスピードを鍛える訓練か分かりゃしないぜ。やるなら全力の炎を出せ」 炎からなんとか抜け出した浩介はやけに落ち着いていた。 「あんたが本気を出してくれてるんだ……俺が炎をセーブしてちゃ意味ないよな…」 自分に言い聞かせ、浩介はゆっくりと目を閉じた。 浩介が目を開けた時にはさらに大きな炎が浩介の足を纏っていた。 「ふーっ………」 大きく息を吐き、そして次の瞬間ーーーー 「……やるじゃん。今のは俺にも見えなかったぜ」 スライアの目の前には浩介の足があった。 蹴りを叩き込む直前で止めたらしい。 「何で止めた?」 「当たっていたらおそらく死んでいた」 短くそれだけ言う浩介は今の攻撃で体力を消費したのか肩で息をしている。 「けっ。一丁前になりやがって」 スライアは足の炎を消し浩介を背にして歩き出した。 「おい……どこ行くんだ…?」 「あ?どこにも行かねえよ。ただ距離を取ったのさ」 「距離を取ることに意味がないって言ったのはあんただろ?」 「考えも無しに距離を取るのが意味がないと言ったんだよ」 ある程度の距離ができ、スライアは再び炎を出す。青く決して消える事のない炎が。 「最終試験だ。俺に一撃叩き込め」
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