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次の日、美歌は指定された時間よりも早く武道場へと足を運んでいた。
だが、それよりも早くマスターは武道場に来ていたようで精神統一をしていた。
「あ、マスター。おはようございます」
「あら美歌ちゃん。今日も早いわね」
「はい。今日もよろしくお願いします」
「じゃあちょっと早いけど始めちゃいましょう」
そう言い、マスターは木刀を構える。
美歌も目隠しをしてから長さの違う二つの木刀を手にし、構えを取った。
だが、その構えを見てマスターは少し目を細める。
「構え方……変えたわね……」
美歌は小太刀の木刀をいつもと違い逆手にして持っていた。
「……はい。こっちの方が……やりやすいですから」
「そう。なら……」
言い切るよりも早くマスターは美歌へと駆け出す。
「手を抜かなくてもいいわね」
マスターの一撃が頭へと振り下ろされるが、美歌はそれを小太刀の木刀で防ぎ、長刀の木刀の横払いでマスターと距離をとった。
「なるほどね。小太刀で防ぎ、長剣で攻撃。確かに懐に入り込まれた時、小太刀なら防ぐことが出来るからその構えのほうがすぐに動けるし便利ね」
一回の攻撃で理解したことを話し終えると美歌は少し驚いたような顔をした。
「たった一回でよく気がづきましたね。ちょっとビックリしました。でも、理解したからといって防げるわけでは…ないですよね」
今度は美歌が攻撃を仕掛けた。
小太刀で首筋へと攻撃するがマスターはそれをしゃがんで避け、そのまま突きを放つ。
だが美歌は体を反らして避けた。
ーー何!?
ーーマズイ!
マスターは驚愕の表情を浮かべたがすでに遅く、美歌の攻撃によってマスターの木刀は地面へと叩き落されてしまった。
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