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美歌は木刀を引き、マスターから距離をとった。
「………どうしてトドメを刺さないのかしら?」
木刀を拾い、マスターは少し不思議そうな顔をしてたずねた。
「……マスター、嘘ついてますね」
「っ…!」
マスターは美歌の言葉に目を見開いた。
美歌はその表情を見て、何かを確信したのかさらに言葉を続けた。
「マスター、私と初めて会った時に言いましたよね?身体が悲鳴を上げたから悪魔狩りを辞めたと。けど……嘘ついてません?」
「……どうしてそう思うのかしら?」
「マスターの動きです」
「動き?私の?」
何を言ってるのか分からないのか、マスターは首をかしげた。
「マスターは剣道の動きに忠実です。私、昔に剣道をやっていたので分かります」
「………だったらなんだって言うのかしら?」
「上手すぎるんです」
「え?」
「悪魔狩りを辞めてからもう何年も経っているのに動きに無駄がないどころかキレに磨きがかかってるようなくらいなんです」
「それは…!悪魔狩りを辞めてからーーー」
「悪魔狩りを辞めなければいけないくらい身体が悲鳴を上げていたのなら鍛錬はできないはずです」
マスターの言葉を遮り、美歌は話を進めていく。
「…………」
マスターは黙り込んでしまい、諦めたのか少し吹っ切れたような笑顔混じりに口を開いた。
「ええ。そうよ。私の身体はまだ動くわ。でも私は悪魔狩りには戻れない」
「……?何か理由でもあるんですか?」
「見て」
指を指した方を見るとそこには刀が飾られていた。
「私のディアブロアーマーよ。名を草薙(くさなぎ)」
「草薙…」
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