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「昔、嵐の神と言われた素戔嗚尊(すさのお)がヤマタノオロチを倒した時に手に入れた刀と言われてるわ。私の武器はそれを元に作られたディアブロアーマーよ」
「嵐の神って……。マスター…もしかして…」
「………私は、元嵐の皇帝【テンペストエンペラー】よ」
ーー嵐の皇帝…!
マスターの言葉に美歌は驚愕の表情を浮かべた。
「でもね、ある日を境に私は刀を抜くことができなくなってしまったの」
「刀を………」
「それ以来私はもう刀を握ることは無くなった。けれどまたいつか刀を手にすることがあるかもしれない。そう思って鍛錬だけは続けたわ」
「そうだったんですか……」
美歌は悪いことを聞いてしまったと少し目を背けてしまった。
マスターは美歌を見て察したのか「気にしなくていいわよ」と言った。
「それじゃあ、美歌ちゃん。次に私に勝ったらこの刀をあなたに譲るわ」
「え!?そんな……」
「大丈夫よ。あなたは風を読むことは出来てるわ。それに次は私も本気を出すから」
途端に殺気が美歌を襲った。
ーーこれは……!
ーー今までと比べ物にならないわね……!
美歌の目の前には普段から考えられないくらい鋭い目つきをしたマスターがいた。
「行くわよ………」
「……はい…」
互いに構えを取り、数分の間沈黙が訪れた。
「………」
「………」
ーーダメだ…。全然隙が無い…
隙を狙っている美歌だったが本気のマスターはかなり集中していて隙が全くと言っていいほど無かった。
「油断しすぎよ」
次の瞬間、マスターは走り出した。
ーー速い!!
美歌は攻撃は不可能と考え防御に専念しようと木刀を体の前でクロスさせた。
「ふんっ!!」
振り下ろされた一撃を美歌はなんとか防いだが、攻撃の機会を見出せず防戦一方だった。
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