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「次で最後ね」
美歌の木刀を押し返し、マスターはその場で居合の構えを取る。
「……ほんと、何かのアニメみたいですね」
苦笑いしながら美歌は言った。
「確かにそうよね。これが最後の一撃なんてのはアニメの世界だけだと思っていたわ」
そう言うマスターもクスクスと笑っている。
「さあ。美歌ちゃんも構えてちょうだい」
美歌は無言で頷き本来の長剣と小太刀の構え、〔正二刀〕を取った。
「………………」
「………………」
じばらくの間、沈黙が続いた。
そしてその沈黙を破って攻撃へと出たのはマスターであった。
マスターの居合切りと美歌の下段からの斬り上げが交わる。
「………」
「………くっ…!」
腕を抑えて倒れこんだのはマスターであった。
「やられたわ。まさかあの一瞬で構えを変えたなんて…」
正二刀の構えは本来右手に太刀、左手に小太刀だが、今の美歌の手には右手に小太刀、左手に太刀が握られていた。
「逆二刀ね」
「はい。私の構えを見てマスターは絶対に私の攻撃を防ぐと思ってたので」
「裏をかいた…ということね。やられたわ」
腕を抑えながらマスターは歩き出し、草薙を手にとった。
「これを譲るわ。今からあなたが嵐の皇帝よ」
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