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渡された刀を両手で受け取り美歌は刀を鞘から抜いた。
次の瞬間、刀から風が吹き荒れ美歌の髪がたなびいた。
「これが…草薙……っていうか私抜くことができた…」
刀を抜けたことに驚いている美歌であったが、一番驚いていたのはマスターだった。
「風が、あなたを選んだのね……」
優しい笑みを浮かべてマスターは言った。
「あの……マスター…ありがとうございます!」
「いいのよ。気にしないで頂戴。あ、でも……」
「でも…?」
少し悩んだ末にマスターは意を決して口を開いた。
「草薙あげるから美歌ちゃんの好きな人教えてくれるかしら?」
「え?」
数秒ぼーっとしてから美歌は言葉の意味を理解し、カアッと顔が赤くなった。
それを見て、マスターはニヤニヤし、「言っちゃいなさいよ」と美歌を指でツンツンし始めた。
「えー…!?だって、その…これとそれは関係しないし…!ですから…!」
「そうなの?でもその人のために私に修行をお願いしたんでしょ?なら関係あるんじゃない?」
「そういうことならそうかもしれませんけど………あ…」
マスターの言葉に操られ、間接的に好きな人を言ってしまった。美歌はさらに顔を赤らめた。
「美歌ちゃんって案外天然よねー」
「なあっ!ち、違います!」
「そんな赤面した顔で言われても説得力ないわよ?」
「うっ…!…絶対に誰にも言わないで下さいね!!」
「ふふふ……それはどうかしら?」
「マスタ~……」
その後30分に渡ってマスターの美歌いじりは続いた。
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