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「子供を蹴るのは少し後味悪いと思うけど…」
浩介はティマの背後へと入り込み、足に強大な炎を纏わせる。
「俺にも覚悟ってもんがあるんだ」
「烈火鬼塵脚」
「ティマ!」
デビアはティマを突き飛ばし、代わりに浩介の攻撃をくらった。
「ぐっ……!」
メキメキメキと骨にヒビが入る音が響く。
そしてそのままデビアは蹴りの勢いで後方にある旧校舎の壁まで吹っ飛ばされた。
「デビアーーー!!!!」
名前を叫びながらティマはデビアの方へと駆け寄る。
「ぐっ……く…くそ…なんて威力だ……肋骨…何本か逝ったぞ…」
動くことが出来ないのか、デビアはその場に突っ伏していた。
「驚いたな。まだ生きてんのか?」
浩介は構えを取ることもせず、ゆっくりとデビア達へと歩み寄る。
「ダメ!!!!!!!」
だが、浩介の前にティマが両手を広げて立ち塞がった。
「デビアをこれ以上傷つけないで!」
「…………」
ティマの真っ直ぐな視線が浩介を見つめる。
ーーそういや……
ーー俺が強くなった理由はこいつら倒すことじゃなくて仲間守るためだったな…
浩介はフッと少し微笑み、後ろに振り向き歩き出す。
「おいてめえ……。情けをかけたつもりか?」
「違えよ。俺はお前ら倒しにきたわけじゃねえからな。俺は仲間守りにきたんだ。戦意喪失したやつにトドメ刺すほど俺も落ちぶれちゃいねえさ」
デビアはそこで気を失い、浩介はそれを気に留めることもなく歩き続けた。
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