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ーーーー校舎屋上ーーーー
キィン、キィン、キィン
屋上では刀が交わるときの金属音が響いていた。
「はああっ!!」
風華と凩を手にしている美歌は敵へ絶え間ない攻撃を放っている。
だが敵は美歌の攻撃を跳ね返し、後ろに下がって距離を取る。
「なかなかやるじゃない。けど、私たちには及ばないわね」
「シャーナ。君が出るまでも無いよ。ここは僕一人でも充分だと思うけど」
「何言ってるのよ。久々の戦いなんだから独り占めは無しよ、シオン」
シャーナとシオンと呼ばれた二人の悪魔はどちらも刀を手にしている。
「にしてもあなた。さっきから腰にさしてるその刀は使わないのかしら?」
そう言ってシャーナは腰の刀……草薙を指差す。
「あなた達に使うような物じゃないわ」
「そう。随分となめられてるのね、私達」
「貴様……後悔するなよ…」
刀を手にしている手をカタカタと震わせながらシオンは言う。
「うおおおっ!」
シオンは刀を勢いよく振り下ろした。しかし、美歌はそれを楓を使って受け流し凩の峰でシオンを叩き飛ばした。
「ぐあっ…」
「怒りに任せた攻撃なんてカスリもしないわよ」
「フッ…。甘いな」
「……っ!」
気付けば美歌の足は凍っており、身動きがとれないようになっていた。
「これで終わりね」
シャーナが美歌へ突きを放つ。
「あっ………」
シャーナの突きは美歌の脇腹を捉え、肉を抉り取った。
「なーんだ。こんなに弱いんじゃ、本当にシオン一人でも良かったかしら?」
笑みを浮かべながら美歌に突き刺さっている刀を引き抜く。
「ぐっ……!!!」
美歌から声が漏れる。
刺さった箇所から血がボタボタと垂れる。
「シオン………とか言ったわね?あなたは物を凍らせる能力なの?」
「いや。僕に能力はない」
「…え?」
「俺とサーシャに能力はない。かわりに俺たちが持ってる刀には特殊な能力がある。俺の【フロストバイト】には凍らせる能力」
「私の【ポイズンサイス】は斬った対象の相手を猛毒に犯すわよ」
そう言ってシャーナは刀を優しく撫でる。
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