覇者の力

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「……分かったわ。あなた達が一筋縄では行かないことが…」 風華と凩を鞘に収め、草薙を手にかける。 「来るわね…」 「サーシャ、気をつけてよ」 美歌は草薙をゆっくりと引き抜く。 「後悔するんじゃないわよ」 完全に引き抜くと同時に強風が吹き荒れた。 風圧で美歌の足を凍らせていた氷もヒビが入り、やがて割れてしまった。 「私がこれをマスターからもらった時から私はこう名乗る事を決意していた」 ーーそれが、自分がどれだけ暗い世界に飛び込むことになろうとも… 「私は嵐の皇帝【テンペストエンペラー】、西条美歌。あなた達を……倒す!!」 言い切ると同時に美歌は駆け出す。 「はあああっ!!!」 横一閃の鋭い斬撃を放つ。シャーナはそれを防ぐがそれでも攻撃に耐えきれず、後方へと飛ばされてしまった。 「シャーナ!」 シャーナへと駆け寄りシオンはシャーナの前に立って刀を構える。 ーーくそっ……。さっきの攻撃で体に毒が…… 美歌は体をふらつかせながらも攻撃体制のままでいる。 「毒が回ってる体でそこまでできるなんて…やるじゃない…」 体をゆっくりと起こしながらシャーナは言った。 ーー毒はあの刀の能力。なら… ーー刀を折れば……! 美歌はさらに攻撃を仕掛けていく。 2対1の中でも美歌は圧倒的な力で押していたが毒が体全体に回りきったらしく、その場に膝をついてしまう。 「残念だわ。毒に犯されていないあなたとも戦ってみたかったけど……」 ーー来い……来い… 「これで終わりだわ」 シャーナは刀を勢いよく美歌の頭へと振り下ろす。 ーー今だ! 美歌は草薙で足元で爆風を巻き起こす。 その風に乗って美歌は駆け出した。 「草薙流壱式・神風居斬」 風に乗ったままの速さで美歌は居合切りを放つ。 「なっ……!」 気付けばシャーナの背後で美歌が立っていた。 「危なかったわ……でも…」 シャーナの刀にヒビが入る。 「これで毒は私の体からなくなったわね」 シャーナの刀ーーーポイズンサイスの刀身は真っ二つになって地面へと落ちた。
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