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「おはよう」
優はリビングに行くと美歌に出会ったので挨拶をした。
「あ、おはよう」
「よく眠れた?」
「ええ。お陰様で。泊めてもらっちゃってありがとね」
「もういいよ。美歌のありがとうは耳にタコができそうだ」
昨日家に来てから美歌はずっとありがとうを連呼している。
「だって本当に嬉しかったから…」
「まあそうやって喜んでくれると俺も嬉しいよ。それで学校はどうすんだ?」
「学校?私が学校に行くわけないじゃない。家にも住めないくらい貧乏人だったのよ」
「それはいけません!!」
遠くから声が聞こえた。
声の方を振り向くと腕を組んだ女性がいた。
「母さん…」
「美歌ちゃん!」
「は…はい!」
あまりの勢いに美歌は背筋を正した。
「そんなことじゃダメだわ!」
「はあ…」
「というわけで今日から優と同じ学校に行きなさい」
「「は!?」」
優と美歌の声が重なった。
「もう手続き済ませてあるから。はい、これ。制服と生徒手帳ね。無くしちゃダメよ?ちなみにクラスは2ー4よ」
「え?え?え?」
美歌はわけが分からなく、頭が混乱してるようだった。
「ちょっと待て!いつの間にそんなことしたんだ!?ってか、2ー4って俺と同じクラスじゃねえか!」
「昨日の夜に理事長に電話しといたの。そしたら快く受け入れてくれたわ」
「あの…私…また学校に通えるんですか?」
美歌が呟いた。
「もちろんよ」
「でも…私…」
ーーこんなに良くしてもらって…。本当にいいのかな?
美歌の顔から優の母は美歌の考えを察した。
「いい美歌ちゃん。あなたはまだ子供なの。子供は大人を頼っていいのよ?いろんな人に甘えていいのよ?あなたは少し遠慮しすぎだわ。だから優と同じ学校に行って色々学んで、そしたらいつか私に恩返しに来てね」
美歌の頭を撫でながらウインクをする優の母。
「あ…ありがとうございます!」
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