取引

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30分後、腹一杯食べ終えた銀時が定食屋から出て来た。清算を終えた土方も続けて出てくる。 「…礼は言わねぇぞ…お前が勝手に奢ったんだからな。」 土方が財布を胸の内ポケットに仕舞いながらフッと笑う。 「…言っただろ。この程度で恩に着せるつもりはねぇってな。」 そう言って立ち去ろうとする土方を銀時が引き止める。 「…やっぱ俺の気が済まねぇ…不本意だが…何かお返ししねぇとな…。」 「…はぁ?いいって言ってるだろ?」 「…お前に借りは作りたくねぇんだよ!」 そう叫び、土方を睨み付ける。そんな銀時をじっと見つめ暫く考え込む土方。 「…じゃあ身体で返して貰うか。」そう言ってから新しい煙草を口にくわえ火を点ける。 「…………はい?」 一瞬、何を言われたか分からず首を傾げる銀時。 ガシッと銀時の腕を掴み引き寄せる。 「…言った通りだよ。…ヤらせろ…それでお互いチャラだ。」 「……!?」 暫しの沈黙。先に口を開いたのは銀時だった。 「…冗談だろ?」 土方から離れようとしたが掴まれた腕を引っ張られて土方の胸に倒れ込む銀時。 「…冗談でこんなこと言えるか。」銀時の背中にそっと腕を回し、耳元で囁く。 「…それとも怖いのか?」 そう言われてカアッと赤くなる。「ばっ…んな訳…!」 「だったら決まりだな。」 土方は間髪入れずそう言うと銀時の腕を引いて歩き出した。 そうして銀時が連れて来られたのが今居る屯所だった。 (…よくよく考えたら何で飯奢られたくらいで身体売る様な真似しなきゃいけねぇんだよ…) 立ち上がり寝室の扉を開けようとした時、土方が戻って来た。 「…暫く誰もこの部屋には来ない様にしたから…どうした?んなとこにつっ立って。」 「…あ…。」 銀時は我に返りぶんぶんと頭を振った。 「…帰るんだよ…!」 土方の横を通り過ぎようとした時、不意に腕を掴まれる。 「…!離せよ!よく考えたら飯のお礼にヤらせろって可笑しいだろがぁぁぁ!!俺はそこいらの売春婦じゃねぇんだよ!性欲処理なら他当たれやぁぁぁ!!」 そう叫んで土方の腕を振り払い出て行こうとする銀時を後ろから抱き締める。 「……!?」 硬直する銀時の耳元で土方が…。「…性欲処理なんかじゃねぇ…お前だから…抱きてぇんだ…!」 「…!どういう意味…!」 すっと身体を離し、銀時を自分の方に向かせると軽く唇を重ねた。
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