132人が本棚に入れています
本棚に追加
雛岸さんは事前に都市長さんから俺たちの事を聞いていたらしく、自己紹介は短く済んだ。
その後は雛岸さんの案内でドームの中へと入っていった。
「何だかワクワクするぅ!」
「あ、ああ……」
目をキラキラさせている怜衣乃とは対照的に、俺は警戒心マックスで気を張っていた。
ドームは外見こそ鉄骨だらけでいかにも工事中なのだが、中は清潔に整われていた。
やはりあれはカモフラージュの様なものらしい。
「海堂君、天佳さん、お待ちしておりました」
ドームの中を見渡していると、数回聞いたあの声が聞こえてきた。
決闘都市長の富片粧菜さんだ。
長い茶髪を揺らしながら、彼女は俺たちに歩み寄ってきた。
俺は少しだけ警戒を強めながら、富片さんに気になる事を投げ掛けた。
「富片さん、どうして怜衣乃もここに呼ばれたんですか? そして、どうしてそれを教えてくれなかったんですか?」
「海堂君、沢山聞きたい気持ちは分かるのですが、私は聖徳太子ではありません。一度に質問されてしまうと困ってしまいます」
富片さんにそう返されてしまい、俺は言葉を詰まらせた。
けれど富片さんはちゃんと1つずつ質問に答えてくれた。
「まず、天佳さんも呼ばれたのは、貴方と彼女の決闘で何か「面白いモノ」を感じたからです」
最初のコメントを投稿しよう!