頭角のドラゴン

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雛岸さんの言葉を聞いた騎士団のみんなはスグに決闘を中断し、決闘台に展開させていたカードをまとめてケースにしまった。 そして一気にこっちに駆け寄った。 みんな綺麗に整列して、奇異の視線を俺に向けた。 「皆さん、決闘中に申し訳ありませんでした。ですが先程の雛岸さんの言う通り、新しく加入する方たちを紹介します」 そんな決闘騎士団の人たちに富片さんが説明してくれた。 その後、俺は一歩前に出て進んで名乗り出た。 「海堂大輝、第4決闘者育成高校の1年です。よろしくお願いします」 俺が軽く下げると、拍手の音が聞こえてきた。 顔を上げて、表情を確認してみる。 笑顔で拍手してくれる人もいれば、俺の在籍校聞いてか明らかに不快そうな顔をしながら手を叩いている人もいた。 ここは選りすぐりのエリートだし、彼らにもそれなりのプライドがあるという事なのだろう。 「あたしは天佳怜衣乃っ! ヒロっちと同じ第4の1年です、宜しくー」 そんな雰囲気なのに、怜衣乃は全く気にしないで自己紹介をした。 可愛い女の子の紹介ということもあり、俺の時よりは悪い雰囲気は薄れていた。 けれどそんな時、1人の生徒が一歩前に出て、声を上げた。 「富片都市長、どういうことですか。新しい加入者が来るからって期待していたのに……来たのは大した事のない学校の生徒2人だなんて、拍子抜けです」 そいつの言葉を聞いた瞬間、似たような思いをしていただろう他のメンバーも批判の声を上げ始めた。 ……素直に歓迎はされないか……。
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