頭角のドラゴン

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雛岸さんが呪文の詠唱を宣言した直後、《ボルシャック・ウルフェウス》の所持している大剣の色が赤く染まった。 そして一閃。 するとそこから灼熱の火球が三発も飛び出してきて、俺のシールドにそれぞれぶち当たった。 シールドは割れるのではなく、その熱で溶けてしまった。 シールドを直接墓地送りにする。 それはつまり「S・トリガー」を使わせないだけでなく、相手の手札も増やさない最強の攻撃手段。 それが3枚分。 さすがは13マナの呪文だ。 「海堂君のシールドは、これで残り2枚。けれど僕のアタッカーは4体で、しかもW・ブレイカーが3体もいる」 雛岸さんのバトルゾーンには《エンドラ・パッピー》と《ボルバルザーク・エクス》が2体、そして《聖竜ボルシャック・ウルフェウス》がいる。 対して俺のバトルゾーンには《魔光王機デ・バウラ伯》しか、攻撃を阻止できるクリーチャーはいない。 「こりゃ、終わったな」 「やっぱりこの程度か」 「都市長さんの見当外れでしょ」 この圧倒的な状況を見て、決闘騎士団の面々は雛岸さん側の勝ちと決めたようだ。 ……確かに俺の場が圧倒的不利だし、そう思うのも無理はないのかもしれない。 でも─── 「大輝……」 「ヒロっち!」 俺の勝利を信じてくれる2人がいる。 そう思うと、俺はまだ戦える気がした。
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