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扉を開いて教室に入ると、俺と夏騎はクラスメイトからチラホラ「おはよー」、と挨拶の声を掛けられた。
だが中でも、
「海堂、おはよっ!」
一際元気な声で挨拶してきた女子生徒。
綺麗に腰まで伸びた茶髪に、
大人びながらも可愛さとあどけなさが残った美しい顔立ち、
そして豊かに膨らんだ胸と程よくくびれた細い腰を持つ、男子なら誰でも一度は釘付けになる見事なプロポーション。
その見事な容姿のお陰か、この第4の1学年の中で一番の人気者だ。
そんな彼女の名前は、小鶴友梨。
何故か小鶴は、毎朝俺にだけ元気に挨拶してくれる。
……まぁ、その綺麗な笑顔を見れて嬉しいから文句は無いんだけどさ。
「おはよ、相変わらず元気だな小鶴は!」
「うんっ!」
俺の言葉に、小鶴はより一層笑顔を強くする。
やっぱり可愛いな……。
俺が思わず見惚れていると、小鶴は突然、モジモジし始めた。
「あ……あのさ、海堂……」
そして話を振ってきた。
けど、相変わらず脚はすごくモジモジしてるし、目が凄く泳いでいる。
だが俺は黙って小鶴の言葉に耳を傾けていた。
「あ……あのさ、海堂は……きょ、今日の放課後……」
まだ完全に言い切る為の決意が出来ていないのか、小鶴はしどろもどろだったが……
ようやく決意が出来たのか、バッと上げて俺に用件を言おうと、
「今日の放課後───」
「はい、出欠取るから座ってー」
タイミングの悪い事に、先生のドアを開ける音で掻き消されてしまった。
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