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「やったじゃない、大輝!」
俺が決闘騎士団の方に視線を向けていたら、それとは別方向から声が聞こえてきた。
聞いただけで分かる。
光葉の声だ。
「光葉。……お前のお陰だよ、ありがとう」
光葉が決闘で証明しろと説明してくれたから、こうして俺は決闘騎士団のみんなに認められる様になった。
だから御礼の言葉をかけたのだが、
何故か光葉は顔を真っ赤にして首をブンブンと音が出そうな勢いで横に振った。
「ち、違うわよ! み、認められたのは大輝自身の実力でしょっ!? アタシは何にもしてないから!」
そう言って光葉は言葉では否定するが、嬉しそうな声色と口元の緩みは隠しきれていない。
それが分かった俺もつい笑みを浮かべた。
その時、背中から元気な声と共に衝撃が突然来た。
「ヒロっち~っ! 団長さんをあそこまで」追い込むなんてやるぅ!!」
それは怜衣乃だった。
肩を組むようにして俺に引っ付いてきたんだ。
いきなり衝撃が来たので結構驚いたのだが、そんな事はどうでも良くなっていた。
今の俺の意識は、背中に感じる柔らかい『何か』に集中されているからだ。
こ、このクッションよりも柔らかく弾力もある感触は、明らかに……
俺がそんな風に顔を熱くしながら、その夢の感触に意識をしつつも必死に振り払っていると、
「ひ~ろ~きぃ~!」
正面でさっきまで照れた笑顔を向けていた光葉が、何時の間にか鬼の様な形相をして俺を睨みつけていた。
こ、これは男なら必ずなってしまう事で、仕方ないんだぁ!!
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