頭角のドラゴン

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「それでは、これで正式に海堂君と天佳さんは決闘騎士団に加入した事になりましたよ」 怒気満々な光葉を必死に宥めた後、俺と怜衣乃は都市長の前に並んで立ち、加入証明書のようなものを渡された。 「ありがとうございます……いつつ」 俺は都市長に形式的な礼をしつつも、軽い腫れた頬をさすった。 この頬の腫れは、俺たちの後ろで今もまだ頬を膨らまして不機嫌オーラを放出しまくっている光葉によるものだ。 うぅ……これ絶対に手形が紅く残ってるな……。 「なぁ光葉、いい加減機嫌を直してくれよ」 「……別に、機嫌悪くないし」 帰り道、歩いて帰ることにした俺は数歩先を歩く光葉の機嫌回復を図ってはみるのだが、現場回復はしてくれない。 けど他の聖ルチーク生は付近のバス停で帰って行ったのに関わらず、俺に合わせて徒歩で帰ってくれている分、最悪な状況ではないと思うんだけど……。 ちなみに怜衣乃は「あたしがいると余計に不機嫌になるかもしれないし、他に寄りたい所もあるから2人でどうぞ~♪ まぁ正確には『2人』じゃないけどね」と言って別方向に行ってしまった。 ありがたいけど、心細い。 ……相棒は放任してて何にも言ってくれないし。
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