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(大輝視点) 実技(=決闘)がないかったるい今日の授業も何とか終了し、放課後になった。 「終わったぁー」 大きく伸びをする。 このまま家に帰って決闘でもするかー。 そう考え、初めに思い浮かんだ相手は言わずもがな、夏騎だ。 「なぁ夏騎、今日決闘しないか?」 いつもはノリノリでOKをしてくれる夏騎だったのだが…… 「悪い、今日は『例の日』だからさ。遊べないんだわ」 片手を顔の前で立てて謝りながら、そそくさと教室を出て行ってしまった。 「んん? ツキっちどうしたの?」 夏騎が見えなくなったタイミングで怜衣乃が俺に聞いてきた。 ちなみにツキっちとは夏騎の事だ。 怜衣乃は○○っちって付けるのがクセみたいだな。 「影井君ね、たまにああやって『外』に出てるんだよ」 そう言って俺の代わりに答えてくれたのは小鶴だった。 学年内でも人気の女の子2人がすぐ前にいるという状況自体はかなり嬉しいのだが、他の男子クラスメイトの視線がチクチク刺さる感じがしてどうにも落ち着かない。 そのせいでどうにも焦ってしまった。 「お、俺たちもどういう理由かはわかんないだけどさ」 「へぇ……そうなんだ」 怜衣乃は顎に手を添えて頷いていたが…… 直後に何かを思い付いたらしく、突然俺と小鶴の手を握って駆け出した。 「せっかくだから後追ってみようよ!」
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