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まぁそんな訳で怜衣乃の提案で、俺たちは夏騎を追う事になったんだけど…… 「追うのは良いんだけどさ、怜衣乃。どうやって『外』に出るつもりだ?」 実はそんな課題があるんだ。 決闘都市はかなりの秘密主義で中の情報を漏らそうとしない。 それは人の出入りも同義で、関係者以外の侵入だけでなく、中の人間の出街も制限されている。 大型連休になれば多少大目に見てくれたりもするが、まだゴールデンウィークに差し掛かってもいない───しかも友人を追いかけてるというだけの理由で門番の人が通してくれるとは到底思えない。 けれど提案者の怜衣乃は何か上手い作戦を考えているのかと思ったのだが…… 「あ、どうしよっか?」 どうやら完全に忘れていたようだ。 「壁を登るなんてのは……無理だよねー……うーん」 色々方法を考えていた怜衣乃だが、やはり有力な手段は見つかりそうもない。 一行で悩んでいると…… 「あら、大輝くん……?」 ふと、聞いたことのある声が聞こえてきた。 声のする方向に視線を向けると、そこには40代程の貴婦人が立っていた。 小鶴や怜衣乃はその人物に首を傾げたが、俺はそれが誰か知っていた。 「椋葉さんじゃないですかっ!」 菜季椋葉。 光葉の母親で決闘都市の学校全てをまとめる総合PTAの会長を務めている人だ。
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