過去

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俺は「もしかして……」と思い、その女の子の近くに寄って話し掛けてみた。 「なぁ、君が探しているのって……もしかしてコレ?」 そう問い掛けながら、俺は胸ポケットにしまったばかりのカードを取り出した。 俺の言葉を聞いた女の子は、顔を上げた。 額の真ん中で分けられた黒髪は、背中の真ん中辺りまで長く延びていて、大きく見開かれた瞳が俺の顔をとられていた。 その綺麗な瞳に、まるで吸い込まれるかの様な感覚に、俺は陥ってしまった。 そんな事を考えている内に、女の子の視線が俺の顔からカードへと下がった。 そして、その瞳が輝いたかと思うと、 「これ、これです! ありがとうございますっ!!」 満面の笑顔をしながら、カードを受け取ってくれた。 その笑顔を見て、俺は胸が高鳴るのを感じた。 この時、既に俺はこの子の魅力に捕われていた……みたいだ。 「あ! もしかして、その紋章って……」 俺が女の子に見とれていると、その女の子が俺の着ていた制服に付いていた決闘都市の紋章を見て、再び目を輝かせた。 「決闘都市の人なんですね! 決闘都市の外で会えるとは思っていませんでした!」 そう言いながら、俺の手を取ってきた。 それに俺が再びドキッとさせられたのは言うまでもない。image=492706233.jpg
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