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「ふーん、そっか。よく許可取れてるな」
「まだ脱臼の時のが効いてるんだよ」
大輝は深く聞いてこなかったので、俺はそう答えて話を終わりにした。
悪いな、大輝。
いつか、絶対に教えるから……。
「よ、絵那」
「あ! こんにちはです、影井君」
俺が病室に入って手をあげながら声を掛けると、絵那は満面の笑顔になった。
けど今日はそれだけでなく、
「君が影井夏騎君ね。いつも娘の絵那がお世話になってるわ」
綺麗な女の人がいた。
どことなく似ているのと、その台詞から、その人が絵那の母親だと言うのは理解できた。
「あ、えっと……こんにちは」
そんな人を目の前にしてしまえば、思わず固まってしまうものだ。
それは俺も例外ではない。
何せ……意中の人の親、なんだからな。
別に絵那と交際をしているわけではないにしろ、それは否めなかった。
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