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まぁ……絵那の母親が受けた第一印象は、どうやら良いものだったらしく、
俺はすっかり打ち解けていた。
「それにしても、ウチの子が元気な学生さんと仲良くなれていて安心したわ。病院だと子供か中年、年寄りしか居なくてねぇ」
「俺もこんな優しい娘さんに会えて良かったですよ」
俺はふと何気なくそう言った。
「お、お母さんも影井君も、何言ってるんですか!?」
絵那は頬を紅くしながら慌ててきた。
俺もそれを見て、恥ずかしい発言をしてしまった事に気付いた。
「フフフ、2人とも顔紅いわよ~?」
絵那の母親だけは、普通の表情で俯いている俺たちを見ていた……。
────
───
──
そんな楽しい日々がいつまでも続いてく。
そんな甘い事を考えてた俺は、その幻想を1枚のプレートによってぶち壊された。
「……え?」
次の日、絵那の病室に訪れると扉のドアノブには、『面会謝絶』と言うプレートが提げられていたんだ。
俺は絵那が『入院している』という事実をスッカリ忘れてしまっていた。
「そんなに悪かったのか……?」
昨日も、元気に会話してくれたと言うのに……。
入ることが出来ず、かと言って帰りたくもない。
そうして立ち往生をしてしまっていると、
「あ、夏騎君。今日も来てくれたのね」
絵那を見に来たらしい、絵那の母親が話し掛けてきた。
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