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「……分かった、また来るよ」 俺はそう言うと、絵那に従って病室を出たのだった。 ── ─── ──── 次の日、俺は病院に行きたかったのだが、今日は決闘都市の総点検に当たる曜日だったが為に、警備が厳重で外に出る事は出来なかった。 「心配だな……」 放課後の下校途中、そんな事をふと呟いた。 その時、突如携帯の着信が鳴り響いた。 公衆電話からだったので、警戒はしたけど、無視するのも気が悪いので俺は通話ボタンを押した。 「はい」 『……影井、君……。昨日は……スミマセン……でした』 その相手は俺が一番、声を聞きたかった相手──つまりは絵那だった。 「無理するなよ。部屋で休んでれば……」 まだ絵那の調子は良くなっていない。 心配だった俺がそう言うと、絵那は上乗せする様にして言ってきた。 「スミマセン……。今すぐ伝えたくて……これが── これが、最後に……なるかもしれないですから……」 相変わらずの調子の悪い途切れ途切れな声で、絵那はそんな事を言ってきた。 俺には、その言葉が衝撃的すぎて、その意味をすぐに理解出来なかった。
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