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絵那が叫び終わる時、俺はようやくナースコールを押すという発想に至った。
けれどその頃には絵那は再び意識を失っていて、結局原因は何も分からずじまいだった。
……………。
(大輝視点)
「とまぁ、こんな具合かな。絵那はそれ以降、何も反応がないまま今まで来ちゃったんだ」
そこで夏騎が回想話を終わらせた。
未だに原因不明で眠り続ける少女。
夏騎はその子の様子を見る為に、わざわざ街を出てこの病院まで来ていたのか……。
……しばらく沈黙が部屋を包み込んだが、怜衣乃が口を開いた。
「ねぇ、ツキっち。エナちゃんはずっと眠ってるだけなんだよね?」
「ん? ああ、そうだな」
何故か怜衣乃はよく分からない質問をし、夏騎も俺や友梨と同じく困惑顔になりながら答えた。
確認をし終えた怜衣乃は、提案をしてきた。
「じゃあさ、エナちゃんの前で決闘しよう! そしたらきっとエナちゃんも喜んでくれるよ」
怜衣乃のそんな言葉にまず反応したのは俺だった。
「決闘……か。良いかもな、それ」
突然で唐突な提案ではあったが、不思議と妙案な気がした。
「……そうだな。きっと絵那も喜ぶに違いない」
「じゃあ誰が決闘しようか?」
夏騎と小鶴も賛同してくれ、今度は誰が対戦するのかという話になった。
「あたしが決闘する!! ……って言いたい所だけど、あたしまだツキっちとユリっちの決闘見た事ないから、お願いしたいなぁ」
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