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「はぁー。行けたと思ったんだけどなぁ……」 デッキを整え直しながら、小鶴は溜息を吐いた。 確かに実際、途中まで夏騎はかなり押されていた。 《ペテルギウス》さえなければ小鶴が押し切れた可能性は高い。 とはいえ、 「ま、どんな状況でも1枚でひっくり返ってしまうのかもしれはいのが決闘だからな」 実際、小鶴のデッキなら《ヘブンズ・ゲート》をS・トリガー出来れば十分に逆転可能だったハズだしな。 「いやー凄かったよ! ツキっちだけじゃなくて友梨っちも!」 俺の言葉の直後に怜衣乃が笑顔で友梨に抱き付いた。 それだけで意気消沈していた小鶴も軽く笑みを浮かべた。 とそんな時、病室の扉が開いた。 「あ、影井君たち? そろそろ面会時間終了だけど、大丈夫?」 入ってきたのは看護師。 確かに言われてみれば結構な時間、ここにいたな。 「あ、はい。ありがとうございます!」 俺たちはそう言いながら、泣原絵那の病室を後にした。 「またな、絵那」 最後、夏騎の小さな呟きが聞こえた気がした。
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