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そこから更にキャスターの女性は、予想通り決闘騎士団の面々の名前を言い並べていった。
そして残るは2人になった。
『続いては───第4決闘者育成高等学校1年、海堂大輝』
「……」
ついに呼ばれてしまった俺の名前。
とはいえ、その可能性もあるだろうと思っていた俺はさほど驚かなかった。
あの都市長は俺を無駄に買い被ってる節があるからな……。
俺が、『あの人』の息子だから──。
『同じく1年、天佳怜衣乃』
俺が別の事を考えている内に、キャスターは更に怜衣乃の名前も口にした。
まぁ……俺と怜衣乃という普通レベルの学生を置いておく事で、「ランダム選出」がエリート間のみであるという憶測をなくす理由もあったんだろう。
『以上の方々は、明後日の交流試合に備え、準備を怠らないようにとの事です』
そんな事を考えている間に、キャスターが言葉を締めくくった。
俺は話していた携帯電話を耳元に戻した。
「俺と怜衣乃が選ばれたってのを伝えたかったわけか」
『そうそう! すげーじゃん、お前ら……って、あんまり驚いてないのな』
俺があまりにも淡白な反応をしてしまった為か、夏騎が少し怪訝な声色になった。
決闘騎士団の事は内密にしなければならない。
胡散臭い都市長の言うことに従うには抵抗があったが、慌てて言い訳を口にした。
「いや、何というか、昼矢との対戦の時に驚きすぎたせいで、反応が鈍っちゃったんだよ。内心はちょっと動揺してる」
『ふーん、そうか。まぁいいけど』
夏騎は納得してくれたようで、話を次に進めてくれた。
『当日、頑張れよ~! クラスみんなで応援に行ってやるから』
「……まぁ、他の参加者のエリート達から浮かない程度に頑張るさ」
俺は適当な返事をして、夏騎との通話を切った。
ふぅ……何とか怪しまれずに済んだな。
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