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(大輝視点)
「さぁてさて! ヒロっちはえっちな本を何処に隠してるのかなぁ~? ツキっちは知らない?」
「『今』の隠し場所は知らないな……」
「も、もう怜衣乃ちゃん! 何て事聞いてるの!? …………で、でも『今の』って事は、海堂もそういうの持ってるんだ……」
「ア、アンタたち遊んでないで、大輝を起こしなさいよ!」
俺は聞き慣れたような騒がしい声により、寝ぼけていた頭が覚醒された。
「……お前ら、揃いも揃って勝手に入ってくるなよ……」
自室からドアを開けながら、リビングにいる一行に言い放った。
「あっ! ご、ごめんね海堂っ!」
「よお、寝ぼすけ」
「何だ、もう起きてたのか~。つまんないのー」
申し訳なさそうに頭を下げる小鶴、
悪いのはお前だからな? って感じの顔をした夏騎、
子供のようにふてくされる怜衣乃、
光葉を除く3人が、三者三様に喋ってきた。
『で、光葉は朝食の準備か。相変わらず、大輝の面倒見が良いな』
直後にアックスが放った一言により、俺に向けられていた3人の視線が一気に光葉に集中した。
光葉はアックスの言うとおり、俺のキッチンにある「二つ目の」エプロンを身に着けている所だった。
「何かもう……起こし慣れてるぅ~。ヒロっちの家にある自分用のエプロンを当然のように着けてるしぃ♪」
「うっ、うるさいわね! 暇なら手伝いなさいよ!!」
怜衣乃の言葉に顔を真っ赤にした光葉は、食パンを乱暴にトースターに突っ込んだ。
俺はそんないつもと違う朝の光景に、幸福を確かに感じていたのだった……。
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