女帝の実力

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「アタシのターン、ドローよ!」 光葉に再びターンが移る。 彼女の場には《フランツ》がいる。このターンから動き始められるはずだ。 「1コスト軽減されて4マナで《超次元ミカド・ホール》を詠唱するわ。《アクアメルゲ》のパワーを-2000して破壊、そして更に超次元ゾーンより闇のコスト9以下のサイキック・クリーチャーを呼び出す!」 超次元ミカド・ホール 闇文明/5マナ/呪文 バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。このターン、そのクリーチャーのパワーは-2000される。 コスト9以下の闇のサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。 光葉が唱えたのは次元の壁を開き、特別なクリーチャーを呼び出す呪文。 エリートの中でも飛び抜いた実力者である光葉は何枚もサイキックを持っている。 この状況で何を選出するのか、俺はちょっとワクワクしながら待っていた。 (光葉視点) 《ミカドホール》の効果で呼び出すサイキック・クリーチャーを選出しようと、アタシは決闘台にセットしておいた超次元ゾーンに指を触れさせた。 「っ!!?」 ───その瞬間、指先から鋭い電流のような衝撃がアタシの全身を突き抜けた。 その後に身体の芯から湧き上がるような不思議な感覚。 それはアタシを包み込むような慈愛に満ちているようで……けれど何故か認めちゃいけないような嫌悪感を感じさせてくる。 何なの、コレ……? 『我を呼び出せ────っ!』 直後、低い唸り声が脳内に響き渡る。 それは……声はまるで違うけれど、声質は大輝の元にいる精霊・《クリスタルアックス》に似ている。 もしかしてこの声はカードの声なのかしら、と思いつつ盤面に視線を戻す。 するとやはり一枚のカード……指が触れている超次元ゾーンの一番上が眩い閃光を放っていた。 「……ついさっきまで入ってなかったカード……?」 そのカードを手に取り確認するが、アタシの超次元ゾーンにこんな名前のクリーチャーを入れた覚えはなかった。 どういう事なのこれは……!?
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