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階段を下りきると、丁度車の中からガタイの良い黒いスーツを着た男が出てくる所だった。
「昼矢丈だな」
「……だったら何だってンだよ」
男はどうやらオレに用があるようだ。
いけ好かねェ態度にはムカツきを感じたが、ガタイの違いがありすぎる。さすがのオレでも勝てると確信出来ねェ以上、無視はしないでおく。
「決闘都市長がお呼びだ。乗って貰おう」
「用件ならここで言いやがれ」
男が後部座席の方のドアを開けながら言ってきたが、内容を伝えずに従えるかよ。
オレは男を睨みつけながら言葉を返した。
「目的地に着けば自ずと解る」
「ンな胡散臭過ぎるのに乗れっかよ。帰りやがれ」
男は説明を一切せず、乗車を強要してくる。
オレは怒鳴りたくなるのを抑えながら、退去を命令する。
これ以上、こいつを対話してると本気で暴力沙汰になりかねん。
「お前は決闘都市に命を預けている身だ。さあ、乗って貰おうか」
「……ッチ」
しかし男は腕を組みながら表情を変えずに言い放ち、オレはぐうの音も言えなくなってしまった。
確かに、オレなんて存在は決闘都市が本気を出せば簡単に握りつぶせちまうだろう。
結局は、ババアの手のひらで動くしかねェってコトかよ。
オレは舌打ちをした後に仕方なく、黒いベンツに乗り込んだ。
男もすぐに運転席に戻り、ベンツは発進した。
ったく、何処に連れてく気だよ。
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