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1時間ほど運転すると黒塗りベンツはようやく停止した。
「昼矢丈、降りろ」
ヤツにそう言われたので仕方なく降りてみたがいいが……
「……ここに連れて来てナンの用だよ」
オレの目の前には新築の3階建て程の小ビルだった。
周りには決闘都市には珍しい緑が広がっている。
「そこの2階で上がれ」
最後にベンツを運転してた男は言い残し、さっさと発進してしまった。
従わず徒歩で帰るのは可能だが、ここまで来てただの徒労で済ませちゃ意味がねェ。
「ったく、仕方ねェ。行ってやろうじゃねーか」
オレはそう台詞を吐いてから、ビルの階段を上がり始めた。
2階に唯一存在するドアを開くと、そこは教室程度の広さでありつつもほとんど物がなく、昼間の差し込む太陽光だけが部屋内を照らしていた。
ただ、そこに一人の女性の影が存在するのが見えた。
「お待ちしていました、昼矢君」
そこに立っていたのはオレを呼び出した張本人、無駄に若い顔立ちをしてやがる都市長のババアだった。
「テメェ、オレをんなとこまで呼び出して、なンの用だよ」
「そうですね。まずは突然の呼び出しでここまで来させた事は謝ります」
ババアは顔色変えずに頭を下げ、形だけの謝罪をしてきやがった。
ムカツくヤツだな相変わらず……っ!
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