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「さあ、トドメと行こうか。《撃滅の覚醒者キング・オブ・ギャラクシー》で、プレイヤーにダイレクトアタック!」
「くっ!!」
クソ野郎が最後の攻撃宣言を行い、それを受けた《キングオブギャラクシー》が翼を使い飛びながらこっちに向かって突進してくる。
ここで、終わりなのか……。
トドメを刺してくるクリーチャー自体は違うものの、この光景はあの時と同じだ。
走馬灯のように、過去の記憶が脳裏に浮かんだ。
………………。
オレと御澄は共に上のクラスに行こうと約束しあった。
だがその査定を行う実技試験の日、オレは寮の自室で気付く。
「デッキがねぇ!?」
どれだけ部屋を探し回っても見つからない。
当然、試験に遅れる訳にはいかないので隅から隅まで探せたわけではなかったが、ありそうなポイントは全部探したつもりだ。
それでも見つからなかった。
「マジかよ……。こうなったらこれから40枚用意するしかないな」
オレは余りのカードから土壇場の即席デッキを用意するしかなかった。
しかし当然そんな適当デッキで勝てる訳もなく、オレは地獄のクラス行きになってしまった。
「仕方ないよ昼矢くん。来学期の再振り分けまで頑張ろう」
かろうじて上のクラスへと到達できた御澄が励ますが、オレの心にはどうしてマイデッキを失くしてしまったのかという後悔が残り続けた。
だがその後悔の矛先はすぐに別の所へと向かうことになる。
「おい、御澄ぃ~。仲良しの昼矢が下クラスに落ちちまって残念だったなー」
御澄が同じ上のクラスの男子に話しかけられているのを見つけた。
オレの話だと分かると、自然を息を潜め聞き耳を立てていた。
そしてオレが聞いているとも思わない御澄が、衝撃的な一言を言い放った。
「別に。だってそもそも彼が試験に落ちるきっかけである紛失しちゃったデッキは、ここにあるからね」
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