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事実を知ったオレは御澄を呼び出し、問い詰めた。
どうしてオレを故意に落とすマネをしたのか、と。
御澄の返答は短い、たった一文だった。
「君なら簡単に騙せると思ったから」
御澄は自分が上のクラスへと上がれるように、自分と同レベルの人間を蹴落とす。オレはその獲物になったのだ。
オレは殴ってやろうと拳を強く握り締めたが、そこで御澄が提案をしてきた。
「暴力に頼るのはよくない。ここは決闘都市で、ここは決闘者を育成する学園だ。拳じゃなくてカードで僕に怒りをぶつけるといい。ほら、デッキも用済みだし返すよ」
御澄がデッキを投げ渡してきたので、オレはそれをキャッチする。
中身を確認したが、一枚も欠けていない。
だからオレはそれを承諾した。
「いいぜ。テメェをボコボコにしてやる……!」
「《アガサ・エルキュール》で、トドメだ」
「くそおおおお、みすみいいいいいいい!!!」
完敗だった。
クラスが変わり、たった数週間しか経っていないのにオレと御澄の実力差は圧倒的に広がっていた。
オレが怒りに身を任せ単調になっていたのもあるだろうが、それでも足りない。
御澄は実力を隠していたのだ。
「精々、地獄と呼ばれる教室で足掻きなよ昼矢くん。その間にも僕はどんどん上に登っていくけどね」
御澄は高々と笑いながら立ち去っていった。
オレは悔しくて、悔しすぎて、人生で一度しかない涙を流した。
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