父の影と未知の力

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(大輝視点) 今日はゴールデンウィーク最終日。 いつもなら家でゴロゴロして休息するか、カードショップにでも行って物色するかという選択肢になるんだけど、 「やーやーヒロっち!」 「お、来たな大輝。待ってたぜ」 「こんにちは、海堂」 怜衣乃が昨日、メールで「連休最終日、思いっきり遊ぼーよ♪」と一斉送信してきたので、あっさりと予定が埋まることとなった。 というわけで寮の階段を降りて最初の交差点を曲がったところで、3人と合流した。 俺もそうだけど、今日はみんな私服で来ている。 怜衣乃と小鶴はさすが女子といった感じで結構オシャレしてきている。 夏騎も何だかんだでファッションには気を遣ってるのが見て分かる。 ……ただのパーカーの俺が浮いてる。泣きたいぜ。 「これで全員揃ったし、天佳そろそろ出発しよう」 落ち込む俺をよそに夏騎が出発を促すが、怜衣乃は「ちっちっち」と口にしつつ人差し指を左右に振った。 「後もう一人来るんだぞー! ね、ヒロっち♪」 「お、おう……」 話を振られてついどもってしまうが、残り一人を誘ったのは俺だ。いや、正確にはアックスか。 俺に振ったという時点で夏騎と小鶴にはすぐバレた。 「あぁ、菜季ちゃんか」 「来てくれるんだ。光葉ちゃんと遊ぶのって、初めて!」 そいや、夏騎は付き合い長いから光葉も交えて遊んだこともあったけど、第4入ってからの付き合いの小鶴と怜衣乃は初めてか。 俺がそんな事を考えた矢先、 「ごめんなさい、遅れたわ!」 件の人物、光葉が道の向こうから駆け寄ってきた。 その様子に俺だけじゃなくて他3人も同時に驚く。 「おー! みっちゃん、いかにもお嬢様だ!」 「私服だと髪下ろすんだ。一瞬分かんなかったぁ」 「菜季ちゃんの私服って結構珍しいな」 小鶴の言った通り、駆け寄ってくる光葉かいつものツインテールではなく綺麗な黒髪をさらりと流している。 それだけで一つ年下には思えない魅力が伝わってくる。 そして夏騎の一言の通り、光葉の私服姿は貴重なのだ。 聖ルチークの校則は、俺たちの学校よりも厳しいからな。image=492924505.jpg
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