父の影と未知の力

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これでようやく全員が揃ったので、俺たちは出発した。 決闘都市は当然ながら決闘に特化した街だけれど、人口の8割を学生が占める以上、『遊べる場所』というのは存在する。 俺や夏騎は基本的に決闘ばっかしてるから、そういった施設に行った経験は少ないけれど、他の学生は多数利用しているハズだ。 というわけで、まず俺たちはゲームセンターを訪れた。 科学力が街の外より発達しているせいか、ゲームセンターにある機械もチラホラ違っている。 来たことはあるにはあるのだが、片手で数えられる程度なので新鮮さは抜けない。 「大輝、いつものやるか?」 「だな」 そこで夏騎が提案してきたので、俺は快諾する。 決闘都市内のゲームセンターが初めてな他の3人は「何々?」と言いながら付いてくる。 (光葉なんてゲームセンター自体が人生初だろうしな) 到着したのは所謂格闘ゲームと呼ばれるものだ。 一般的なそれと外観はほぼ同じだが、唯一違うのは操作パネルの真ん中部分に、カードをスキャンする装置があることだ。 「へぇ……これ、デュエル・マスターズのカードが使えるのね」 俺の隣にいた光葉が瞬時に察する。 その通り、これはスキャンしたクリーチャー同志でバトルする格ゲーなのだ。 もちろんクリーチャーの数なんて大量なので操作パターンが同じなんてのはザラだ。多分30パターンもない。 けれど自分のお気に入りカードで戦えるってのが良いんだよな。 「当然俺は《クリスタル・アックス》を使うぜ」 「こっちもいつも通り、《真実の巨兵サンダーバードRe:》だ」 お互いに必要はない宣言をした後にカードをセットすると、数秒後にスキャン完了。 モニター内に斧を構えた水晶体の戦士と、鋼鉄のボディのメカが向かい合って出現した。 ちなみに《サンダーバード》は巨大メカだが、格ゲーなのでクリーチャーの大きさは揃えられている。 『レディ?』 ゲーム内から開始前の合図が聞こえてきたので、俺と夏騎は構える。 こっからは真剣勝負だ。 『ファイッ!!』 そしてゲームが開始すると同時に、《アックス》と《サンダーバード》は互いの方へと詰め寄り始めたのだった。
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