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(光葉視点)
クイズが終了し、みんながクイズマシーンから離れて集まったけれど、大輝だけは「トイレ行く」と言葉短く告げて走り去ってしまった。
……あの問題が出ちゃったなら、仕方ないわね。
「いやー結局、1位は菜季ちゃんから揺らがなかったなー。さっすが中学で唯一の『選出決闘者』だなぁ」
影井先輩が両腕を後頭部で組みながら言ってくる。
でも、一番回答が早かったのはこの人だ。アタシは2番目だったわ。
「10年無敗なんて、すごい人が居たんだねっ」
そう言って笑顔で喋るのは小鶴先輩。
そっか。彼女は今年度から決闘都市に通い始めて、それまで決闘をしてなかったらしいし、知らないのも仕方ないわね。
アタシが説明しようかと思ったけど、小鶴先輩の言葉に真っ先に反応したのはやはり影井先輩だった。
「おう! IOっていう、全身真っ白のマントで顔を隠した正体不明のプロ決闘者なんだぜ。でも3年前に突如行方不明になっちまってな……。結局、正体は分からないまま、プロ決闘界に戻ってくることはなかったんだよなぁ」
「ツキっちはIOのファンなんだ」
喜怒哀楽を付けながら話す影井先輩の核心をついたのは怜衣乃だ。
彼女も今年度からの決闘都市新入生だけど、決闘歴はあるからちゃんと知ってたみたいね。
「ああ。あの人の防衛決闘戦とか、親に土下座までして直接観戦に行ったこともあるんだ!」
そう語る影井先輩は本当に楽しそうで……。
大輝も、そしてアタシも、『あの出来事』さえなかったらちょっとは嬉しくなったんだろうなと考えていた。
10分程経つと、大輝はいつも通りの状態になって戻って来てくれた。
でもその笑顔には、少しだけ無理が出てるしまっているように、アタシには見えてしまっていた。
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