父の影と未知の力

9/33
前へ
/414ページ
次へ
「誰だったの大輝? 何か穏やかな様子じゃなかったけど」 光葉が話しかけてきたことで、俺は我に返った。 しかしどう伝えるべきかなこれ。 俺は頭の中で必死に整理して、説明を始めてみることにした。 「誰かは、よく分からなかった。丁寧な口調をした男の声だったんだけど……いきなり30分後に第16区域の旧決闘アリーナに来いって言って一方的に切られたんだ」 「何それ……怪しすぎるわよ」 光葉は通話中の俺と同じ様な感想を口にした。やっぱそうだよな。 ここで、俺たちの不審な表情に気付いたからか残りの3人も駆け寄ってきたので、俺は夏騎たちにも同じ説明をした。 「うーん……やめた方が良いんじゃないかなぁ。危険な気がする」 話を理解した小鶴がそう口にした。 光葉と夏騎も同意らしく、うんうんと頷いていた。 だが俺は言い忘れてた一言が頭から離れなかった。 「あいつさ、「俺が知りたがってる真相」を来れば教えるみたいな事を言ってたんだ。それが妙に気になってて」 「そんなことも言ってたの? 何でさっきの説明で言い忘れてるのよ」 付けたすように言ってみると、光葉が鋭いツッコミを入れてきた。 その後、光葉は変わらぬ表情で言ってきた。 「だったらより怪しいわよ。「知りたがってる真相」なんて餌で釣る気だわ」 「だな。やめておいた方が良い気がするぞ」 夏騎も便乗するように口を出してきた。 うーん……。 それでも俺の頭からは「知りたがってる真相」が離れない。 俺が知りたいこと、 それは都市長もとい決闘騎士団のことか、決闘中に突如生まれるクリーチャーのことか。 これらは俺一人がどう頑張ったって辿り着けそうもない気がする。 でも、旧決闘アリーナってとこに行けば、分かるかもしれない。 そう考えると、俺の中でこの誘いを受けたいという気持ちが一気に強まった。
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!

132人が本棚に入れています
本棚に追加