132人が本棚に入れています
本棚に追加
「誰だったの大輝? 何か穏やかな様子じゃなかったけど」
光葉が話しかけてきたことで、俺は我に返った。
しかしどう伝えるべきかなこれ。
俺は頭の中で必死に整理して、説明を始めてみることにした。
「誰かは、よく分からなかった。丁寧な口調をした男の声だったんだけど……いきなり30分後に第16区域の旧決闘アリーナに来いって言って一方的に切られたんだ」
「何それ……怪しすぎるわよ」
光葉は通話中の俺と同じ様な感想を口にした。やっぱそうだよな。
ここで、俺たちの不審な表情に気付いたからか残りの3人も駆け寄ってきたので、俺は夏騎たちにも同じ説明をした。
「うーん……やめた方が良いんじゃないかなぁ。危険な気がする」
話を理解した小鶴がそう口にした。
光葉と夏騎も同意らしく、うんうんと頷いていた。
だが俺は言い忘れてた一言が頭から離れなかった。
「あいつさ、「俺が知りたがってる真相」を来れば教えるみたいな事を言ってたんだ。それが妙に気になってて」
「そんなことも言ってたの? 何でさっきの説明で言い忘れてるのよ」
付けたすように言ってみると、光葉が鋭いツッコミを入れてきた。
その後、光葉は変わらぬ表情で言ってきた。
「だったらより怪しいわよ。「知りたがってる真相」なんて餌で釣る気だわ」
「だな。やめておいた方が良い気がするぞ」
夏騎も便乗するように口を出してきた。
うーん……。
それでも俺の頭からは「知りたがってる真相」が離れない。
俺が知りたいこと、
それは都市長もとい決闘騎士団のことか、決闘中に突如生まれるクリーチャーのことか。
これらは俺一人がどう頑張ったって辿り着けそうもない気がする。
でも、旧決闘アリーナってとこに行けば、分かるかもしれない。
そう考えると、俺の中でこの誘いを受けたいという気持ちが一気に強まった。
最初のコメントを投稿しよう!