父の影と未知の力

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「どうして電話の人はヒロっちの携帯番号を知ってたんだろうね?」 そんな時、今まで黙っていた怜衣乃が疑問を投げかけてきた。 今まで気付かなかったけど、言われてみれば謎だ。 俺がこの携帯電話を持ち始めたのは第4高校に上がる少し前だ。 なのでアドレス帳に記載されてる名前は10人もいない。 ここから漏れたってのは考えづらいな。 「ここでスルーしたってしつこくアプローチされそうじゃない? だから今こうして人数が多くいる内に、とっとと済ませちゃった方が良いかもよ」 怜衣乃の考察と説明は案外しっかりしていて、納得してしまうようなものだった。 まぁ元々俺は行こうと考えてた側なんだけど。 「……アタシはともかく、全く無関係な小鶴先輩や影井先輩に危害が加わるのは賛成できないわ」 でもすかさず光葉が反論を入れてくる。 それも確かにその通りだ。俺だって他のみんなに危険を及ばせたくない。 なら、 「俺一人で行くよ。やっぱ真相ってやつが気になるんだ」 「ばっ、馬鹿! それが一番ダメよ! 危険すぎるわっ!!」 俺が提案をすると、被せるようにすぐ否定してきた。 心配してくれてると分かっていても、ここは譲らない。 「俺は真相とやらを知りたいし、みんなを危険に巻き込むつもりもない。だったら、これが最良だろ?」 「んなわけないでしょ!? ……アックスからも何か言ってあげてよ!」 そこで光葉が俺の相棒に話を振ってくる。 大きな声で呼んだので、存在を知らない小鶴と夏騎は光葉の言葉に驚きと疑問を浮かべる。 カードに入っていて姿を消していたアックスだったが、話は聞いてたらしく出現するとすぐに返答した。 『悪いが、俺も大輝に賛成だ』 「え!?」 アックスなら冷静に止めると思っていたらしい光葉は目を丸くした。 かくいう俺も、ちょっと意外だと思ったけど。
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