父の影と未知の力

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入口同様、中も随分と荒れ果てていた。 床は正方形のタイルが敷き詰められていたようだったが、そのほとんどが剥がれてしまっている。 壁も壁紙が全て外れてコンクリートの地、中には鉄骨が見えてる部分もあった。 天井もコンクリートが所々で欠け、中にあったコードが切れて垂れてしまっていたりする。 しかしそんなボロボロの建物内でも、まるで道を示すかのように一つの繋がった複数のタイルが目に入った。 よくみると新品のタイルなのが分かった。どうやら本当に進むべき場所を教える為らしい。 「親切ではあるけど……わざわざタイルで教えるなんて、手間のかかることするわね」 俺が進もうと一歩踏み出したところで、光葉がそんなことを呟いた。 おお、言われてみればその通りだ。相変わらず鋭いな。 「私も思ってた。だからこそ不気味、だよね……」 どうやら小鶴も気付いてたらしい。そいや小鶴って第4高校の入試をほぼ満点で受かったなんて噂を聞いたことがある。 だから光葉と同じように気付けたのかな。 「まあ考えても仕方ないよー。道を教えてくれてるんなら、その通りに進むしかないって」 対して怜衣乃は相変わらず能天気だ。 夏騎と小鶴を諭した時の雰囲気は、どこへやら。 まあ、俺も怜衣乃の言ってることには同意するので、気を引き締め直し先に進んだ。 「あ、ちょっと先に行かないでよ大輝!」 すぐに光葉を含めたみんなが小走りで追いかけてきた。
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