父の影と未知の力

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タイルによる道案内。 それは一つの部屋を最後に終わりを告げた。 どうやらこの建物で一番広い決闘専用ホールのようだ。 だが対戦者が上がる中心のステージは形を残しているが、2階の観客用ベンチは7割程が壊れたのかごっそりと無くなっていた。 そしてそんなボロボロの決闘専用ホールの一番奥に、人影があるのを発見した。 「お待ちしておりました、海堂大輝様」 その人物はこっちに近付いてきながら、俺の名前を口にした。 電話と同じ口調と声。 なるほど、こいつが俺を呼び付けた本人か。 睨みつけていると、やっとそいつの姿が見えるようになった。 が、顔はマントに繋がっているフードによって完全に隠されている。体格は俺たちより多少年上に見えるがっしりとした男だ。 「アンタねぇ! こんなとこに大輝を呼び出して何の用よっ!」 俺が喋ろうとした直前に、光葉が一歩も前に出て謎の男に向けて怒った声を上げた。 だが男は俺以外の4人を一瞥すると、すぐにまた俺に視線を戻した。 「おやおや、お呼びしていない仲間を連れてきたのですか」 そこまで告げると、男は今までの静かな雰囲気を一変させ、 大きく口を歪めた。 「──それが危険であることも想定出来なかったようですねぇ」 「何っ!?」 俺が驚きの声を上げた瞬間、男の背後からいきなり突風が吹き荒れた! 人が簡単に飛んでしまいそうなほどの強風なのに、何故か俺と男はその勢いを一切受けずに立てている。 「「「きゃあああ!!」」」 「うわあああ!!」 だというのに残りの光葉たちは全員入口の方へと吹き飛ばされた。 どういうことだ!? 俺が謎の現象に驚いてる内に、光葉たちはいつの間にか閉まっている入口の扉に叩きつけられた。 「いた!」 「あうっ!」 「うっ!」 「ぐはっ!」 しかも直後にコの字型の透明ガラスが彼女らを囲むように天井から降り、完全に閉じ込められてしまった。
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