父の影と未知の力

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「な、何よこれ!」 光葉が叩きつけられたダメージから回復し、ガラスを右手で何度も叩くがビクともしない。 「このガラスっ、頑丈すぎんだろっ!」 夏騎は光葉よりも勢い良く右脚でガラスを蹴りつけるが、それでもヒビどころか歪みもしない。 その様子を見ていたフードの男が微笑を浮かべながら、説明をしてきた。 「無駄ですよ。そのガラスはダイヤモンドカッターでも直ぐには割ることの出来ない決闘都市製でも最硬を誇るガラス。人力ではどう足掻いてもそこからは出られません」 「お前……俺が知りたがってる秘密ってのはブラフだったのか!? 俺たちをどうするつもりだ!」 仲間が捉えられ、冷静でなくなった俺は声を荒げて疑問をぶつけた。 それでも男は微笑を崩さぬまま、再び口を開く。 「ふふ、海堂大輝様がワタクシの申し出を受けてくれるのであれば、貴方の友人たちに危害を伝えるつもりはありません。それに──あの言葉はブラフではなく、真実です」 「っ!」 男の言葉に驚き、目を思いっきり開く俺。 つまり、光葉たちは要求を呑ませる為の人質ってとこか。 俺は一度光葉たちに視線を向け、睨みながら男へと視界を戻してから要求を聞き出す。 「俺に何させるのが目的なんだ」 「簡単ですよ。ワタクシと決闘して下さい」 するとフードを被った男は、懐から黒いプラスチック製デッキケースを取り出しながら、要求を口にした。 決闘……? そんなことをする為に、わざわざこんな大仕掛けを用意したのか。
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