父の影と未知の力

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『あの男の要求、怪しいな。決闘の勝敗に嫌な条件でもありそうだ』 そこで今まで様子を見てたアックスが、警戒を促してきた。 確かにその通りだ。俺が負けた際にはもしかしたら光葉たちが……。 俺もそう考えてズボンのポケットの中にあるマイデッキを強く握り締めたが、 「いえいえ、そこらへんはご安心ください。決闘の勝敗による賭け事は致しません。決闘受けてさえ頂ければ後ろの友人たちは解放しますし、海堂大輝様は敗北しましてもワタクシは何も致しません」 男はそこで一旦言葉を止め、デッキケースからデッキを取り出し終えると顔を上げて言ってきた。 「ですが海堂大輝様がワタクシに勝利できた場合、貴方が知りたがってる秘密をお教えいたしましょう」 「っ! 俺が知りたがってる秘密って何なんだよ!?」 男の言葉で、ここに誘い込まれた文句を思い出し、大声で疑問をぶつけた。 しかし男は変わらず微笑を浮かべながら返答してきた。 「それはワタクシに勝利できた時にお教え致します」 どうやらどういった秘密というのかも勝てないと教えてくれないらしい。 光葉たちが人質にされてる以上、どの道俺には決闘を受けるという選択肢しかないけどな。 俺は握り締めていたデッキをポケットから引き抜いた。 「分かった。やればいいんだろ!」 そう宣言した瞬間、フードの男は大きく歪めるように口角を上げた──ように見えた。
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