父の影と未知の力

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次の瞬間、頭上から景色が変わっていく。 半球型の360度シアターの頂上から映像を切り替えていくように。 数秒後には俺たちが立っているのが廃れた旧決闘アリーナではなく、まるで宇宙空間に放り出されてしまったかのような場所になっていた。 「な、何だこれ!?」 「宇宙っ!?」 圧巻されてる俺の後ろで叫ぶ声が複数聞こえてくる。 どうやらみんなもこの謎空間に来ちまったようだ。 「ここは決闘空間(デュエルスペース)。デュエルマスターズの精霊が住む世界と人間世界の狭間」 「なるほど、だからか」 フードの男が説明をした直後、横から相棒の声が聞こえてきた。 だが今までとは声の聞こえ方がまるで違う。 そう思い、顔を横に向けると…… 「うわあ!」 アックスがいつもの半透明ではなく、立体映像の時のような鮮明な姿となって立っていた。 「あれって《クリスタル・アックス》だよな」 「夏騎くん、光葉ちゃんの後ろにも《時空の賢者ランブル》がいるよ! 決闘台を使ったわけでもないのに……っ?」 背後から夏騎と小鶴の声も連続して聞こえてくる。 不透明な姿となっていた時点でまさかとは思ったけど、どうやらあの二人にも精霊であるアックスの姿が見えてるようだ。 精霊の世界と俺たちの世界の狭間……。 だから精霊は自分たちの世界に近い形で存在できるってことか? 「ある程度理解されたと思いますが、ここでは精霊が実体を得られるのです。そしてこの空間に来れる人間は、精霊と心を通わせられる者のみ」 謎の男は続けてそんな説明をしてきたが、逆に疑問が浮かぶ。 夏騎と小鶴。 あの二人は今まで精霊を認知できたことはなかったハズなんだ。
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