父の影と未知の力

18/33
前へ
/414ページ
次へ
「それはおかしい! だってツキっちとユリっちは精霊、見えてなかったよね?」 「せ、精霊!?」 「もしかして、ゲームセンターを出た後に光葉ちゃんが「アックス」って言ってたのって、あの《アックス》のことだったの!?」 怜衣乃が俺の心中と同じツッコミをしたかと思えば、夏騎と小鶴が驚きと理解の声を上げる。 そこで腕を組んでいた光葉が眉をひそめながら口を開いた。 「もしかしたらだけど、アタシと怜衣乃が二人の近くに居たから巻き込まれちゃったのかもしれないわ」 なるほど、この空間に来れる条件を満たしている人間が近くに居るから巻き込まれたのか。 確かに、そうでもないと説明はつかなそうだ。 でも何より疑問なのが、何故あいつはわざわざこんな場所に俺たちを引き込んだんだ。 「海堂大輝様の疑問にも検討が付きます。簡単な話です、あの施設にある決闘台はもう壊れてしまっていますからね。この空間で決闘をした方が手っ取り早いというわけです」 フードの男が心を読んできたかのように回答してくると、持っていたデッキを前に差し出すと、そのままデッキから手を離してしまった。 当然デッキが落ち──ると思ったのだが、何故かデッキは空中に静止されたままだ。 しかも自動的に上から10枚のカードが、フードの男の胸のあたりと、右手付近に5枚ずつ移動した。 な、何だ? 超能力か!? 俺は突然の不可解な現象に、そんな推測をしてしまうが意識してなかった周りの景色を見て改めた。 (そっか。ここは決闘空間なんていう不思議な領域。さっきみたいな現象が起こってもおかしくないんだな) 俺はそう思って驚いた心を収めると、試しに相手と同じ様にデッキを前に差し出して手を離してみる。 すると同じように静止し、10枚のカードがそれぞれシールド、手札に該当するであろう位置まで移動してくれた。
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!

132人が本棚に入れています
本棚に追加