父の影と未知の力

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「飲み込みが早く助かります。では海堂大輝様、始めましょうか」 フードの男は俺の行動を見て微笑を深めてきた。 察してたけど、やっぱこの状態で決闘するんだな。 ならもう決闘空間とか秘密が何なのかとかを考えるのは一旦止めだ。 「ああ、行くぜ!!」 俺は右手を拳にして前に突き出しながら大声で叫ぶ。 右手付近を浮遊している5枚の手札カードも、右手にピタリと着いて行くように移動していた。 そして俺とフードの男は同時に決闘開始の宣言をした。 「「決闘っ!!」」 宣言直後、シールドとして浮いていた5枚のカードが青白く光る盾へと変化した。 それと同時に、俺の目の前に「turn1」という数字が空中に浮かび上がる。 どうやら俺の先攻らしい。 「俺のターンだ!」 手番開始の宣言をすると、突然デッキの一番上が飛んできた。 そのカードは右手付近て浮遊している5枚のカードに合流すると、同じように静止した。 どうやらドローも自動に行われるらしい。 結構、カードを引く動作好きなのになぁ……勿体ない。 そう思いつつ、俺はプレイングを始めることにする。 「1マナで《アクア・ティーチャー》を召喚だ!」 俺は早速マナチャージとクリーチャーの召喚を宣言する。 すると手札として俺の目の前に浮いていたカードが前方へと飛んで行く。 マナに送ったカードは数十センチ先で静止して逆さまになる。 対して《ティーチャー》の方はどんどん先へと飛び続ける。 すると数メートル飛んだ《ティーチャー》のカードが小規模の爆発を起こした。 煙はすぐに晴れ、中からクリーチャーが現れた。 立体映像とは違って先が透けたりしていない。相棒みたいにマジで本物なのか。 アクア・ティーチャー 水文明/1マナ/リキッド・ピープル/ハンター/1000 ブロッカー このクリーチャーは攻撃することができない。 カードに能力が書かれていないクリーチャーを召喚した時、カードを1枚引いてもよい。 ……怖いは怖いが、決闘に集中だ。 俺は一度左右に頭を振って思考を決闘へと戻す。 実は以前の交流戦をきっかけに少しデッキ内容を変えたんだ。 この新カード《アクア・ティーチャー》。能力を持たない、所謂バニラクリーチャーをサポートするこいつを主軸にしたビートを織り交ぜてみたんだ。
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